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Isabeau de Bavière FRANKREICHS KÖNIGIN AUS DEM HAUSE WITTELSBACH

2023/01/27

参考文献

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参考文献の紹介です。
イザボー・ド・バヴィエール―ヴィッテルスバッハ家の生んだフランス王妃
Isabeau de Bavière
FRANKREICHS KÖNIGIN AUS DEM HAUSE WITTELSBACH
著者:Karin Schneider-Ferber
出版社:Verlag Friedrich Pustet
出版年:2018 言語:ドイツ語
ISBN-13:9783791728759
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全140ページほど。成人男性の手のひらくらいの大きさの、薄くて小さなドイツ語の伝記。タイトルを日本語にするならば「イザボー・ド・バヴィエール―ヴィッテルスバッハ家の生んだフランス王妃」といったところでしょうか。
イザボーの生まれ故郷である南ドイツ・バイエルンのレーゲンスブルグにある出版社から出された本で、バイエルンの“郷土の著名人たち”を扱ったシリーズ物の中の一冊のようです。

2019年頃に本屋さんで取り寄せそのまま放置していたものを、翻訳機を使って読破(?)したのが2021年11月のこと。
読む前は、薄くて小型の本だし、シリーズ物のうちの一冊、ということもあって、数冊ほど参考文献に目を通して簡単にまとめられた本なのでは、という偏見があったのですが、非常にしっかりした内容で驚きました。
参考文献の頁を見ると、イザボーを知る上で必読の新旧文献や一次史料に+αで、たくさん読み込んで書かれています。
参考文献を見る限り、筆者は母国語ドイツ語に加えて、フランス語も英語もスラスラ読める。
こりゃ、圧倒的に日本人は不利だわ、と、何が不利なのか分からないけど思いました。言語的にもだけど、文献調達に一生かかりそう。

さて内容ですが、イザボー時代の宮廷文化と政治劇を中心に進んでいきます。具体的な描写や数字がしっかり出てきて、感傷的な感じがなく、お話もサクサク進んで分かりやすかったです。
イザボーの人生は仰天エピソードの連続で、特に非常にややこしくなる中盤からの社会的混乱も含めて、どの本よりも簡潔に、分かりやすくまとめられていると思います。

人間関係・登場人物らの人柄・議論が分かれる話などは、最低限触れるに留めています。本筋から脱線しそうな、でもどうしても触れなければならない話には、別途コラムを設けてあるのも、合理的で素晴らしい。
短いながらもこれほどしっかりまとめてあるということは、その分、著者は情報の取捨選択にかなり苦労したのではないか、と思いました。あれだけの文献を読んだとなると、なおさらです。

バイエルン発の本ならではの視点も良かったです。
フランス語や英語の本では見たことが無かった、親友カタリーナのドイツ語での名前や、イザボーの父や兄のドイツでの活躍、イザボーの生地と推測されるバイエルンの城やヴィッテルスバッハ家ゆかりの聖母教会の写真が盛り込まれているあたりは、その最たるものでしょう。

なお、特に確認もせず男性著者による伝記と思い込んでいたのですが、ところどころ「あれ?これを書いたのは女性では?」と思わせる気遣いが見られました。
たとえば、イザボーが次々とたくさんの子供たちを持つことができた事実について、「出産の苦しみ」を除けば恵まれていただろうというようなことが書いてあって。
この一文をあえて入れるのはなんとなく女性らしいな、と思っていたら、著者はやはり女性でありました。

管理人はドイツ語がまったく読めず、単語の一つも分からないので、完全にスマホの翻訳機能頼みでした。
が、ドイツ語と自動翻訳の相性が良いのか、あるいはこの著者の文体ゆえなのか、フランス語を翻訳機にかけたときよりもはるかに分かりやすい日本語に訳されたのが印象的でした。

そして、自動翻訳ながらも感じられるサバサバした作風の中、次々と起こる予測不能の事態に立ち向かったイザボーへの慈しみが、最後まで貫かれています

表紙に使われている「イザボー像」の写真も、著者が自らパリに出向いて撮影したようで、イザボーへの愛情を感じることができる本でした。

いわゆる、「読む用」、「保管用」、「布教用」に何冊も持っておきたいくらい、管理人的お気に入り&おすすめの一冊◎

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中世末期の西ヨーロッパ史、特に王家の人々に関心があります。このブログでは、昔から興味のあったフランス王妃イザボー・ド・バヴィエールについてを中心に発信します。

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