引き続き、シャルル7世と姉カトリーヌの記事の補足シリーズです。
上記記事の中で、当時、王家の子供たちが、砂糖を使った甘いおやつを食べることができたと書きました。
今回は、これについてもう少し、掘り下げてみたいと思います。
\シャルル7世と姉カトリーヌについての記事はこちら/
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19世紀に生き、シャルル7世の長編伝記を著した歴史家ガストン・ルイ・エマニュエル・デュ・フレヌ・ド・ボークール(Gaston Louis Emmanuel du Fresne marquis de Beaucourt:1833-1902)によるシャルル7世伝に書いてある情報です。
正式な書名は“Histoire de Charles VII: Vol.1 Le dauphin, 1403-1422”(シャルル7世の歴史:第1巻 王太子、1403-1422)。
ものすごく古い伝記の一つで、擁護派の意見も踏まえた上でなおイザボーには批判的ですが、それはさておき、1403年のシャルル7世誕生時から順を追って、一次史料(同時代に書かれたもの)から収集した情報を列挙しております。
その一つひとつが興味深いのですが、今回は割愛させていただいて。
P.9のところに、以下の記述があります。
出典は「KK 43のいたるところ」とのこと。KK43は、フランス国立古文書館に所蔵されている一次史料で、おそらく王家の会計簿でしょう。
直系ヴァロワ王朝時代の料理人といえば、タイユヴァン(本名ギヨーム・ティレル)という人が、フランスで最初にフランス語の料理本を著した、といわれています。
P.9のところに、以下の記述があります。
Comme eux aussi, à partir du second semester de 1403, il a part aux distributions d'anis et de noix confits, de sucre rosat, d'orengeat, de citron, de coriende, etc., qui se font chaque mois pour la bouche des enfants royaux.また、1403年の下半期のはじめから、彼は、王家の子供たちの食卓のために毎月ごとに作られる、アニスと木の実のコンフィ(砂糖漬け?蜂蜜漬け?)、ローズの砂糖漬け、オレンジ、レモン、コエンドロなど...の分配にあずかる。出典:Histoire de Charles VII: Le dauphin, 1403-1422(P.9)
出典は「KK 43のいたるところ」とのこと。KK43は、フランス国立古文書館に所蔵されている一次史料で、おそらく王家の会計簿でしょう。
記述を見たときは、これらをそのまま食べるのかと思いました。
ローズの砂糖漬けや柑橘系はともかく、アニス(八角)やコエンドロ(コリアンダーの実)は強烈だと思うのですが・・・現在でも、これらの香辛料を砂糖でコーティングしたお菓子が存在するようなので、ありえなくはないのかな。
あるいは、製菓材料だったのかも。
マリーヴェロニク・クラン女史は著書“Isabeau de Bavière la reine calomniée”で、イザボーの子供たちが、焼き菓子や焼きリンゴを食べていたということに触れています。そして、今でもフランスでスパイスを使ったケーキ「パンデピス」が存在することを思えば。
何にせよ、シャルル7世伝のこの記述だけでは詳しいことは分からないので、調理史・製菓史の分野の本を読まなければなりませんね。
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彼はヴァロワ王朝初代フィリップ6世に仕え、シャルル6世時代の前半までご存命でした。
タイユヴァンの料理本は、長年に渡って複写が繰り返されたため、バージョンがいくつか現存するらしいのですが、おやつについては何か書いていたのかしら?
気になるところです。